個展のスケジュールが決まったら、徐々に額装を進めていきましょう。後でまとめてやろうと思っているうちに、結局間際になってバタバタすることになりかねません。手持ちの額縁を使おうと引っ張り出してみると痛んでいたりして、「どうしよう、もう時間が無い!」なんてことは避けたいものです。

 額縁で作品を良く見せようとするのは誤りです。額縁はあくまで「作品の良さや魅力を引き出すもの」であることを基準に選びましょう。どんな額縁に入れたらいいか分からない場合は、作品や作品の写真を持参して額縁屋さんに相談すると良いでしょう。また、今まで使っていた額縁も、個展を機に見直しをしてみるのも良いかもしれません。インターネットで額縁を通販しているところもあり、たくさんのサンプルの中からじっくり選ぶことも出来ます。額縁の形によっても印象はずいぶん違いますので、自分に合ったものを選びましょう。
<外側が高いもの>
作品の中央に視線が誘導されます。モチーフの存在感を引き出します。
<内側が高いもの>
作品の広がりを印象付けます。用途の広いタイプです。
<カマボコ型及び平らなもの>
作品を強く囲い込む印象を与えます。
入れ子は平らな部分に布を張り刃先に箔を捺したものが一般的ですが、それ以外にも、刃先だけの「直(じか)入れ子」や「二重(ダブル)入れ子」もあります。入れ子のタイプによっても印象は違ってきます。
<直入れ子>
力強い印象を与えます。作品の構図のアラが目立つのでご注意下さい。
<二重入れ子>
「中板」と刃先で構成されます。中板は布張りが基本ですが塗装されていることもあります。
かしこまった印象を与えます。

■主な仕上げのタイプと作品との相性■
金箔捺しの額… 一般的に幅広く使われます。特に緑系、赤系のニュアンスを伝えるのに優れています。
銀箔捺しの額… 青系の色調のクールさを引き出すのに良いでしょう。
黒っぽい額… 色調の力強さや鮮やかさを引き出すのに良いでしょう。
白っぽい額… 淡い色調の魅力を引き出すのに良いでしょう。
※あくまでも目安です。箔のすり出し具合や中(入れ子)に使用する布地によってもイメージは違ってきます。

 自分に合ったものを一からオリジナルで作る場合は、手作り額の工房に依頼するしかありませんが、ほとんどがプロ作家専用で、誰かの紹介がないと作ってはもらえないことも多いでしょう。もし、ご自分の額縁にお悩みのプロ作家の方がいらしたら、当サイト管理人にご相談下さい。



 額装は裏板を外して行います。裏板は通常トンボ(日本画用はサル)で留められています。作業の際は毛布等の厚手の布を敷き、作業し易いように額の天を手前に伏せて行います。

1.作品をセットする
作品を入れ子の中にセットし、釘で留めて裏板をかぶせます。作品の裏にはみ出したキャンバスで裏板によって強く押さえつけられるようなら、釘留めの必要はありません。
2.吊り金具(平ヒートン)をつける
ヒートンは吊りカンの部分が天から3分の1くらいのところに取り付けます。左右非対称のものには左右があるので注意してください。



吊りカンが内側を向くように取り付けてください。
3.紐をつける
紐の長さは左右のヒートン間の3〜4倍の長さを用意し、半分に折って使用します。
半分に折った部分を吊りカンに通し、できた輪へ束ねた両端を通します。
通した両端を引っ張り、しっかりとコブを作ります。
展示の際に手探りでフックに掛ける時、一本取りを防ぐために束ねた紐は数回ねじっておきます。
両端をもう片方の吊りカンに通します。
紐のたるみのない程度に軽く張った状態で結びます。
天の方へ引っ張り、張り具合を確認します。頂点が天に近すぎると展示した時に吊り金具が見えてしまうので注意してください。
 余った紐は折り返して結び付けます。

4.箱に収める
額縁を収める箱には、合わせ箱(通称:弁当箱)と差し箱があります。差し箱にはダンボール差し箱・布地又は渋紙のタトウ(畳箱)があります。
★合わせ箱で留め具(文化鋲)の付いたものは、箱の角が切れる原因になりますので必ず留め紐をすべて外して開いてください。
★差し箱は、額縁の表が文化鋲の付いていない側に向けて収めてください。

※箱が無くエアーキャップで包む場合は、搬入搬出時の着け外しを考え、紙製のガムテープは避けたほうが良いでしょう。粘着力が強すぎるものでは、搬入時に外す際にエアーキャップが破れて搬出時に使えなくなります。「SEKISUI透明クロステープ」などがお勧めです。

■ガラスの手入れ■
 使い回しの額縁を使う場合は額装の前に必ずガラスの確認をしておきましょう。汚れていたら、水で固くしぼった布で拭き取ります。アルコールやシンナーは、万が一額縁についたら、ニスや塗装がはがれることがありますので決して使用しないで下さい。透明アクリル板の場合も同様です。汚れがひどい場合は入れ子を外して額縁から取り出し、ガラスクリーナーで拭き取ります。くれぐれもガラスの取り扱いにはご注意下さい。皮の手袋(軍手不可)をして取り扱うと良いでしょう。アクリル板の場合は、専用のクリーナー兼帯電防止剤を使います。お勧めはタキロン社製のコートロンですが、ガラスクリーナーで拭いた後、水で固くしぼった布で拭き取っても良いでしょう。ガラスの割れや大きなキズがあれば額縁屋さんで入れ替えてもらいましょう。

■大作の額装■
 大作の場合は仮縁でも十分でしょう。仮縁とは、入れ子やガラスの入った額縁を「本縁」とした時に対応する呼び名です。金属製や木製のものがあり、金属製のものには収納や持ち運びに便利なよう分解できるものもあります。木製のものに作品を留める時には、曲げ押さえの容易な「銅釘」を使うと良いでしょう。また、細いものは、中央付近が作品と離れ易いので、「プレート金具」や「両穴サル」を曲げてネジ留めすると良いでしょう。プレート金具はホームセンターで、両穴サルは画材店で手に入ります。


 版画・水彩画等は、細身でマットの入った「デッサン縁」を用います。作品を額縁屋さんに持ち込んで額装してもらうと良いでしょう。自分で額装する場合は、作品を見せるマットの窓口の寸法とマット幅を決めて額縁屋さんで切ってもらいます。同時にそれに合ったサイズのデッサン縁をオーダーします。「マット幅」は、デッサン縁の刃先にかかって隠れる部分を差し引いたものを指す場合もありますので、額縁屋さんに確認してください。デッサン縁には、版画・水彩画用紙に合った規格寸法もありますので、額縁屋さんに問い合わせてみてください。個展用にまとまった数を必要とするなら、その旨を伝えて相談にのってもらうのも良いでしょう。
■自分で額装する場合■
1.作品の四辺の中央付近にマスキングテープを裏から粘着面が表を向くように貼り付けます。 2.マットをかぶせて位置を決め、マスキングテープを張った付近を上から押さえて仮留めします。
3.一辺を持ち上げゆっくりと裏返します。 4.ミューズコーナーピタック又は中性紙テープで四隅を留めてマスキングテープを剥がします。大きな作品は中央部も固定すると良いでしょう。

・マットと裏板との間に「中性紙」を挟みますので、額縁屋さんでマットと同寸の中性紙をつけてもらってください。

・裏板を取り付けたら、埃やカビ菌の進入防止のために水張りテープで目張りしてください。

※版画の場合は、個展の時に展示と同様の額装での購入希望もありますので、必ずマットのサイズ・タイプ及び額縁のタイプを控えておいてください。
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